【おすすめの10枚】 ⑥ Dai Komatsu & Tetsuya Yamamoto『Shadows and Silhouettes』


【おすすめの10枚】
⑥Dai Komatsu & Tetsuya Yamamoto『Shadows and Silhouettes』

フィドルの小松大とギターの山本哲也。
2人の鬼才による、恐るべきデュオです。現在の日本はアイルランド音楽の興隆期にあると感じますが、この2人の音楽の”濃さ”は、アイリッシュという枠を超えて唯一無二のものです。

冒頭の『Caves Of Kiltanon』で、いきなりその美しさにハッとさせられます。ユニゾンフレーズのような、比較的”閉じた”表現でありながら、ギターの開放弦が実に効いていて、そこからわずかずつ滲むように空間が広がっていきます。メドレーで続く『Kinnycally』でも同様にユニゾンフレーズを基調としながら効果的に裏に回る哲也さんの自在なギターが聴きどころです。

2曲目の4つのチューンのメドレーは個人的にお気に入り
軽めでかわいい『Polka Na Carraige Baine』にはじまり『Paddy Fahey’s』での連続する転調の快感、『Bobby Casey’s』〜『Boys of Ballisodare』への緊張感の持たせ方も見事で、実に濃い時間を楽しめます。

アルバム全体を通して小松さんのフィドルは、隅々まで歌い込んだ充実感が尋常でなく、ここにある曲たちが”雰囲気のきれいめな音楽”などではなく、長い時間に耐えた、重厚な人間の歌なのだと教えてくれます。

小松さんはフィドルとともに、しばしばヴィオラに持ち替えます。
ヴィオラ・チューンの中では『The Night Visiting Song』がこのアルバムの白眉とも言えるトラック。美しいギター・ソロから始まり、そこに重なるヴィオラの美しさ!切々と訴えかける音色が胸を打ちます。そして伴奏に回ったギターの暖かな空気。夕映えの風景がそこに広がるようです。従来どおり勇壮に歌い上げるのでなく、こうした表現を選択した2人の凄さを感じるトラックです。

哲也さんのギター・ソロも3曲収められてますが、中でも春を待ち望む美しい歌『Teacht An Earraigh』(Jens Kommnick)は涙を誘う名演奏。哲也さんのギターは常に楽曲への”共感”に満ちていて、「演奏とはなにか?」を、いつも私に投げかけてくれるのです。

私はこの2人と出会ってまだ日が浅いですが、いつも楽しく絡ませていただいてます。これからもずっと、骨太なこのデュオの音楽を楽しんでいきたいですね。

とにかく素晴らしい音楽が詰まったアルバムです。全世界におすすめします。

↓こちらから購入できます。
https://daikomatsu.com/cd/

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【おすすめの10枚シリーズのコンセプト】2020.4.4
「こんな時には、とてもじゃないけど音楽を聴く気にはならない…」
私もその気持ちはよくわかります。

しかし、最近気づきました。
直接の面識のある友人達のアルバムからは、まるで彼らと楽しく話をしているような、そんな気持ちを貰えるという事を。

これから10枚ほど、そんな友人達のアルバムを紹介していこうと思います。
日常的にライブ活動をしている人たちばかりなので、この騒動が収まれば、誰でも直接会って話ができる人たちの音楽です。

この記事を読んで、10枚をコンプリートしてくれると嬉しいですね。