【おすすめの10枚】⑤ 運河の紅カモメ『コルウス』


【おすすめの10枚】
⑤運河の紅カモメ『コルウス』

ハンマーダルシマーの小松崎健、ヴィオラの三好紅、ギターの浜田隆史による、”弦楽三重奏団”『運河の紅カモメ』による1stアルバム。これは傑作です。

この3人とは私もよく一緒にライブをする仲で、各人の特徴やクセなどもよく知っています。3人に共通するのは、面白い人間であること、そして音楽への真面目さ。
とはいえ音楽の道のりは大きく異なります。

健さんは日本でまだケルト音楽が根ざす前から、アイリッシュを中心に音楽を掘り下げてきたレジェンドだし、浜田さんは、アコースティックギター不遇の時代からずっとラグタイムを中心に独自のソロギタースタイルを築き上げてきた。そして紅さんはクラシックのオーケストラや室内楽で長く演奏してきたヴィオリストです。

共通点も相違点もうまく呼応し合うユニットはなかなかありませんが、この3人は相性が抜群だと思います。

ダルシマーの音色の”強さ”、アタックのグルーヴはアンサンブル全体を引き締めているし、ギターは持ち前の名人芸を封印した献身的なプレイに徹している。そこにヴィオラの哀愁あるオブリガートが絡む。
この編成は世界中で唯一というのがまた素晴らしい。

そしてこのアルバムでは、浜田さんの楽曲の魅力が大きなポイントです。もともと浜田さんは、ギター1本の世界に収まりきらない豊かさと色彩を持った作曲家なのです。この3人編成で、その魅力が見事に花開いたと感じます。

『夕暮れのカブトガニ』『能見台』は完成された見事なアレンジ。メンバーそれぞれ、オブリガートを作るのが実にうまい!それぞれがメインにもなり、下支えにも回れるので、伸びやかに音楽が流れていきます。

健さんのペンによる楽曲は、民族色の強いヴィヴィッドな色合いが素敵です。特に冒頭の『ドルイドの唄』は曲、アレンジ共に傑作です。

浜田楽曲『虎杖』は、あえて浜田さんのギター抜きで収められています。
ダルシマー&ヴィオラという編成でこの透明感を抽出したのは、健さんのアイデアです。曲後半、ダルシマーでのBメロが出てくる箇所は、ハイライトとも言える瞬間。

全ての曲に聴きどころ満載の傑作です。
この騒動が収まったら、各地で展開されるアルバムリリースのツアーが楽しみですね。

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【おすすめの10枚シリーズのコンセプト】2020.4.4
「こんな時には、とてもじゃないけど音楽を聴く気にはならない…」
私もその気持ちはよくわかります。

しかし、最近気づきました。
直接の面識のある友人達のアルバムからは、まるで彼らと楽しく話をしているような、そんな気持ちを貰えるという事を。

これから10枚ほど、そんな友人達のアルバムを紹介していこうと思います。
日常的にライブ活動をしている人たちばかりなので、この騒動が収まれば、誰でも直接会って話ができる人たちの音楽です。

この記事を読んで、10枚をコンプリートしてくれると嬉しいですね。