【おすすめの10枚】① 小川倫生『Night Jasmine』


【おすすめの10枚】
①小川倫生『Night Jasmine』

小川さんを初めて生で見たのはたしか2002年。三宿のミトラサールでのジョイントライブでした。
その日の出演者は下山亮平くんと小川さんと私。下山くんが機材一式を自宅に忘れてきて、御茶ノ水から引き返してリハに遅れるという珍事があったのを覚えています・・・

小川さんの演奏、ぶっ飛びましたね。
「ギターを弾く」というひとつの”スタイル”を軽々と超えて飛翔する音。そして身体ごとギターにぶつかっていくようなフィジカルの印象も同時に感じました。「この人はすごい」と心が躍ったのを覚えています。

その日のライブで演奏していたのが、この『Night Jasmine』に収められている楽曲群でした。
最新作『冬の言葉』も実に素晴らしいアルバムですが、個人的な思い出、思い入れが最も強いのはこのアルバムです
もしかして、すべてのギター・アルバムの中で一番聴いたかもしれませんね・・・・

「音楽は聴覚だけのものではない」と意識し、音から色彩を内面的な視覚を持っていた作曲家メシアンからヒントを得て「香りを感じる音楽」に取り組んだのがこのアルバムだそうです。
私はこのアルバムを聴いて、「嗅覚」そのものというよりも、「匂い立つもの」を音楽で表現しているように感じています。そのための楽曲構成であったり、細かい音型の端々であったり、録音であったり、曲順であったり。
『チェルシー・グリーンの日々』など、まさに匂い立つようなコードチェンジだし、『ナイト・ジャスミン』から『カロランズ・カップ』の流れも、静謐で自由な響きに浸ったと思ったら、一気にオキャロランの人間くさい世界にシフトしてゆく。このアルバムで最も感動的な瞬間のひとつだと思います。ここでは硬質なローデンから柔らかいマーティンへ、楽曲と共に楽器も変化しているのも聴きどころです。

やはり白眉はラスト3曲でしょう。
『スピニング・クエーサー』『チェルシー・グリーンの日々』『ジョルジュ・メリエスの月』
宇宙〜英国の庭〜宇宙へと曲の舞台は移りかわりますが、テーマが学術であれ空想であれ、本質的な内容に切り込んでゆく意味での地続き感がすごいです。まるで3曲が1つの組曲のように機能している気がします。

全体で40分に満たないアルバムですが、満腹感がものすごいんですよね。『アストロノーツ』など、3:27にこれだけのものを描き表すイマジネーションに脱帽します。この曲だけで7分くらいの充実感があります。

小川さんのアルバムは、下記のサイトから注文できます。
ぜひ聴いてみてください。

小川倫生
『ディスコグラフィー』
http://ogawa-michio.com/disco/

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【おすすめの10枚シリーズのコンセプト】2020.4.4
「こんな時には、とてもじゃないけど音楽を聴く気にはならない…」
私もその気持ちはよくわかります。

しかし、最近気づきました。
直接の面識のある友人達のアルバムからは、まるで彼らと楽しく話をしているような、そんな気持ちを貰えるという事を。

これから10枚ほど、そんな友人達のアルバムを紹介していこうと思います。
日常的にライブ活動をしている人たちばかりなので、この騒動が収まれば、誰でも直接会って話ができる人たちの音楽です。

この記事を読んで、10枚をコンプリートしてくれると嬉しいですね。