【おすすめの10枚】 ⑨ 山部大喜『3つのS』


【おすすめの10枚】
⑨山部大喜『3つのS』

私の専門学校時代からの友人、山部大喜。
10代当時からシンガーソングライターとして、桁違いの情熱と才能を持っていた彼は、東京での音楽活動を経て現在は地元熊本で音楽教室を主宰しています。

通っていたギター専門学校が少々変わった学校であったこともあり、私達の青春時代もいろいろと一筋縄ではいかないものでした。でも激動の日々の中で、彼と松村君と、3人で一緒に音を作れたのは幸せでした。

彼が熊本に戻ってからも、彼のYou Tubeチャンネルには自作自演の名曲がたくさんアップされていて、その創作意欲は学生時代以上に燃え立っているように感じていました。「そろそろ何か、まとまった作品を作って欲しいな」といつも思っていましたが、なかなか叶わずに時は過ぎ、2016年、あの熊本地震の大災害を大きな契機として、1stアルバム『sacrament』が遂にリリースされました。震災の只中、生死の境に身を置く空気。創造の喜び。家族への愛情。様々なものが渦を巻きながら盤面に刻み込まれた傑作です。その後2017年には2nd『Saturn Return』2018年には3rd『space time cassette』と、続々と名作を発表してきました。全て限定発売という形でリリースしたCDは既に完売となっています。

今回ご紹介するのは、なんと本日!2020/4/13から配信開始される、彼のベストアルバムです。
タイトルの「3つのS」とは、リリースした3作の頭文字がいずれも「S」だった事に由来しますが、彼によると、3作品をリリースしたら1枚にまとめて別の形でリリースするのは、当初からの計画だったそうです。

こうしてまとめて聴くと、彼の持つサウンドの多彩さに驚かされます。
アコースティックから打ち込み、フォーキーからプログレまで、サウンドの振り幅は大きいのに、そこに彼の”声”が入ると全ての音がひとつに収束していく。彼のボーカルの力量は上手い下手では計れないそのカリスマ性にあるのだと思います。

それと、一貫してカセットテープMTRでの宅録にこだわったのも大きな特徴です。テープコンプの太さ、ホワイトノイズのあたたかさ。そうした澱のように沈殿したテープの味わいで我々は育ったはずなのに、一旦デジタルに慣れると多くのものを簡単に忘れてしまう。そこに音楽を見出し、思い出させてくれた彼の視線にあらためて感謝したいです。

好きな曲は、全てです。
ここにある曲は全部良いです。
あえて個人的に選ばせてもらうと、
『ケイリーズ』『underground cinema』『白いファン』『百対戦』『1921』そして『君との組曲』はもう大傑作じゃないですかね・・
『君との組曲』、ここに貼っておきます!
https://www.youtube.com/watch?v=d53YjWnnOFM

彼のすごさは、ソングライティングがサウンドメイキングと完全同期しているところです。彼は昔から、音出しの最初からサウンドのイメージがハッキリしていて、それをこちらが読み解いてゆくようなやり取りが多くありました。おそらく宅録だとイメージにダイレクトにたどり着くはずで、そう考えると、彼の手にかかったTASCAM(カセットMTR)は魔法の箱なんだと思います。

このアルバムはCDではなく、各サービスからダウンロードして聴いていただく形式をとっています。
配信というと構えてしまうかもしれませんが、普段iPhoneのミュージックを使っていたり、Amazonなどを利用していたりする方でしたらハードルはそこまで高くないはずです。ぜひトライしてみてください。
彼の音楽がこうした形で世界中に飛んでゆくのは、ミュージシャンとして大きな喜びです。

↓こちらから購入できます。
(サブスク配信となりますので、ソースを選択してご購入ください。)
https://linkco.re/m8hT7mXC?fbclid=IwAR2syMRyavbDy3LY7xbfli8tCQcwUwsj4xvv-7UL5rgDQyd6kApp3SzA_-o

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【おすすめの10枚シリーズのコンセプト】2020.4.4
「こんな時には、とてもじゃないけど音楽を聴く気にはならない…」
私もその気持ちはよくわかります。

しかし、最近気づきました。
直接の面識のある友人達のアルバムからは、まるで彼らと楽しく話をしているような、そんな気持ちを貰えるという事を。

これから10枚ほど、そんな友人達のアルバムを紹介していこうと思います。
日常的にライブ活動をしている人たちばかりなので、この騒動が収まれば、誰でも直接会って話ができる人たちの音楽です。

この記事を読んで、10枚をコンプリートしてくれると嬉しいですね。